道程のつぶやき

第3回道程のつぶやき

「おはようございます」

相手は怪訝そうな顔をして通り過ぎて行った。

そこで気付いた。

あ、そっか。ここ海士じゃないんだ。

海士では知り合いであるか否かに拘わらず、出会った人は必ず挨拶をしてくれる。

初めて海士を訪れた昨年の夏、とても驚いた。

毎週都市に行く。

都市には便利なもの、人が溢れている。

夜になっても街は眠らない。

それでも、誰かと言葉を交わす機会はとても少ない。

大阪で一人暮らしをしていた時は誰とも言葉を交わさずに一日を終える日もあった。

それが私の生活では当たり前だった。

けれど今はそれがすごく寂しく感じる。

海士で生活をしていると休日でも必ず誰かと言葉を交わす。

商店のおばちゃん、道端で出会った子どもたち、バスの運転手さん、農作業帰りのおじいちゃん、おばあちゃん。

知っている人も、顔見知りの人も、はじめましての人も。

それが当たり前になってきた今、週に一度海士を離れてみてはじめてそのあたたかさに、ありがたさに気付く。

またひとつ見つけた、海士の好きなところ。

ABOUT ME
藤尾編集長
現役女子大生21歳。「都市と離島の暮らし方研究所」編集長。 離島の卒論を書くため、2019年3月から都市と離島の多拠点生活を開始。離島で観光船あまんぼうのガイドをしながら週1回本土の大学に通う生活を送る。趣味は写真とビール。