連載

第4回あいうえお色日記

「えどちゃいろ」

隠岐神社は淡い木の色をしている。
「江戸茶色」という色があるらしい。これが近い色だと思う。

ここは後鳥羽上皇を祀った神社で、崩御700年の節目に造られた。

わたしが訪れた時間は他に誰もおらず、独り占めすることができた。
しんとしていて、質素で、どこか上品な空気がある。
乾いた枯草の匂いを吸い込み、ひとり物思いにふけっていた。

週末にはここで秋のイベント「食の感謝祭」が行われる。
年に一度、海士町で採れた食材を奉納し、感謝する。
観光協会はその準備でバタバタだ。

忙しい時期にワーホリに来てしまって、かえって迷惑だったかなぁ。
イベント直前に来た“よそ者”だ、できることは限られている。
もちろん誰も嫌な顔などせずにいてくれるが、自分で勝手に「早く役に立ちたい」と焦る。

でも、それは間違っているかもしれない。
江戸茶色を見ていてふと思った。

「成果を上げさせてくれ」ではなくて、わたしは、島のくらしに溶け込みに来た。
求められている人手を補うために来た。

“よそ者”と地元民とは優劣ではなく、ただ単に違うだけだから
卑下する必要はないのだろうけれど、無理に手を出すべきではないと思う。

時間をかけて、ゆっくりじっくり溶け込んで、少しずつ近づけたらいいな、
そんなことを考えた。

感謝祭。とても楽しみだ。

ABOUT ME
中村祐理子
2018年11月、ワーホリで海士町に1ヶ月間滞在しました。そのときが初の離島暮らし。普段は埼玉で実家暮らしをしており、島や地方に所縁があるわけではありませんが、ワーホリをきっかけに興味を持ちました。 「あいうえお色日記」と「しりとり交換日記」を書いています。 2019年春から社会人です。