第5回編集長と副編集長の交換日記(小西編集長より)

編集長と副編集長の交換日記

太田さん

 

11月も間近に迫り、寒さも厳しくなってきましたね。

 

ご友人の結婚式、楽しかったようで何よりです。
人間習字の動画が残っていないことを本当に残念に思います。

あまマーレ芸術祭というイベントがあったのを初めて知って驚きました。
「流れる」。
素敵なタイトルですね。
「流す」でも「流される」でもなく。
「流れる」。

 

私も海士から東京に流れつき、2週間という時が流れました。
相変わらずはじめての大都会に戸惑う毎日を過ごしております。
最近ようやく鉄道という名のテクノロジーに体と心が慣れてきました。
ただ未だにどの電車に乗ってもなんやかんやで目的地に到着できるという現象には違和感がつきまといます。

ふと海士町で最初にバスに乗って家に帰ろうとしたあの日を思い出しました。
豊田線と海士島線を乗り間違えて、車庫の前、寒空の下、濡れたヤッケを着て約二時間途方に暮れたあの日を。

 

さて、今日は太田さんに私の都市での仕事について少し知っていただきたいと思っております。

私が今働いているのは、離島キッチン日本橋店という飲食店です。
離島キッチンについて、太田さんには私からご説明差し上げるまでもないですね。
日本橋店はとてもアクセスの良い場所にあります。
地下鉄の改札を出るとすぐに「離島キッチン」の文字が目に入るほどです。
辺りはオフィス街で高いビルが連なっています。

まさに摩天楼のジャングルです。
当然お客様もスーツをビシッとその身に纏った企業戦士の方が多数を占めます。

日本橋店ではランチ営業、カフェ営業、ディナー営業と時間帯によってメニューを変えて営業しています。
平日のランチタイムはいつも緩やかに忙しく、ディナーは金曜日が賑わいます。
そんな離島キッチン日本橋店で、私は今ホールのお仕事をしています。

お客様をお迎えし、お席にご案内し、お水とお手拭きをお渡しして、オーダーをいただき、お食事を運び、空いた食器を下げ、洗い、お会計をして、お客様をお送りし、テーブルを片付ける。
そんな感じのお仕事です。

実は、これまで私には飲食店での勤務経験がありませんでした。
しかし、飲食店に客として訪れた経験は数え切れないほどあります。
つまり飲食店で働く店員さんの姿を、私は何度もこの目で見ているはずなのですが、いざ自分が働いてみると体は全然動かないし、言葉もさっぱり浮かんできませんでした。
それでも今、私は一緒に働く皆様に少しずつ仕事を教えていただき、必死についていこうと足掻いております。

 

ところで、離島キッチンには全国の離島からさまざまな美味しい食材が集まっています。
海士町からはシマメやイカの子、アカモク、それに岩牡蠣が美味しく調理され、綺麗に盛り付けられてお客様へご提供されています。

私はマルチワーカーとして働く中で、岩牡蠣やシマメといった食材の持つ背景ストーリーを少なからず知っています。
現場の様子、携わった方々の顔、込められた思い、かけられた時間と手間。
この離島キッチンで扱われている全ての食材には、ひとつひとつにそうした背景ストーリーが存在しています。
私はまだ海士町のいくつかの食材のほんの一部のストーリーしか伝えられません。
それでも、マルチワーカーとして、これからさらに自分の活動の範囲を広げることが出来れば、私はいつかこのお店に並ぶ素晴らしい食材のひとつひとつに込められた、素敵なストーリーの一編を物語ることのできる語り部になれるのかもしれない。

ここは、そんな夢を見ることのできる位に魅力的な食材があつまる素敵なお店です。

また、私がこの店舗で特に気に入っているのが物販スペースです。
北は北海道、南は沖縄まで、島の食材が所狭しと並んだ棚は料理をする人間からすれば宝物庫のような場所です。
私もついつい色んな食材に手を出しては、シェアハウスの広すぎるおしゃれキッチンでお洒落な料理を作ってしまいます。

 

毎月のフェアや様々な催しなど、まだまだ離島キッチン日本橋店の魅力はありますが、文章も長くなってきたので今日はこの辺で。

 

食欲の秋とは申しますが、食べすぎには注意し、お体大切にしてください。
乱筆乱文失礼いたします。

 

都市と離島の暮らし方研究所 編集長
小西 未祐