第1回編集長と副編集長の交換日記(小西編集長より)

編集長と副編集長の交換日記

太田さん

 

早いもので海士町を発ってもう四日目となりました。

東京での暮らしは慣れないことでいっぱいです。

特に毎日の移動に関して、私は戸惑うばかりの日々となっています。

満員電車、駆け込み乗車、駅を行き交う人々の歩く速さ…。

都市の公共交通網は離島のそれに比して、圧倒的に便利なのは間違いありません。

ただし、その便利さが必ずしも、暮らしにゆとりを与えるわけではないようです。

まるで彼らと私との間では、流れる時間の速さが異なるのではないかと、そう錯覚してしまいそうになるほど、私の目に映る都会の暮らしはめまぐるしいものでした。

 

ここで人を取り巻く時間の流れについてすこし考えると、よく耳にするのは“生活リズム”という言葉です。

これは個人それぞれの性格や就いている仕事によって大きく異なると思います。

ただ、私が今感じているこの時間に対する感覚のズレは、私と彼らとの“生活リズム”の違いではないような気がしているのです。

そもそも海士町で出会った東京の学生たちと私の間には、個々の認識する時間の短長に多かれ少なかれ、ズレがあったはずです。

しかし、少なくとも私は、彼らとの間に流れる時間に、ここで感じた違和感を持ってはいませんでした。

つまりこれは、個々人の問題ではなく、暮らしの周辺環境という外的な要因から形成される、いわば“暮らしのリズム”の違いなのかもしれません。

この“暮らしのリズム”は安直に比較してどちらが優れている、どちらが劣っていると論ずるものではなく、その“暮らしのリズム”から何を学び、何を身につけ、そして何が欠けてしまいそうになっているのかをしっかりと把握することが、都市と離島の暮らし方を研究する上で
重要ではないでしょうか。

 

太田さん、これから私は徐々に、離島の“暮らしのリズム”から都市の“暮らしのリズム”へとこの身を置くことになります。

この交換日記では、お互いの日々の暮らしから得た気づきを共有できれば幸いです。

 

それでは日毎に秋冷の加わる頃、なにとぞご自愛のほどを。

お返事楽しみにお待ちしております。

 

都市と離島の暮らし方研究所 編集長
小西 未祐